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2025.03.10お知らせ
静岡大学グリーン科学技術研究所・生物化学研究室セミナーのご案内です。
金属酵素を意図的に誤作動させる戦略と高難度物質変換
(2025年4月18日金曜日、16:30-17:30、静岡大学農学総合棟201室)
荘司 長三 先生
(名古屋大学大学院理学研究科物質理学専攻)
図 P450BM3による長鎖脂肪酸(パルミトイルグリシン)の水酸化(左上)とデコイ分子存在下でのメタン水酸化(左下).これまでに開発した代表的なデコイ分子の構造(右)
本講演では、シトクロムP450BM3の基質特異性を制御するための「デコイ分子」の活用について紹介する。P450BM3は高い触媒活性をもつが、天然基質である長鎖脂肪酸以外には活性を示さない。基質模倣物のデコイ分子を用いてP450BM3の誤作動を引き起こすと、変異導入を行うことなく非天然基質の水酸化が可能となる。初期のペルフルオロカルボン酸系デコイ分子から、アミノ酸修飾型デコイ分子、さらにはペプチド型デコイ分子へと発展し、触媒効率や基質適用範囲の拡大を実現してきた。デコイ分子を用いる手法は、酵素触媒の応用範囲を広げる新たな戦略を提供し、バイオ変換や医薬品合成への応用が期待される。